学校教員といえば、憧れの職業や将来なりたい職業の一つとしてよく挙げられますよね。
義務教育の過程では学校に通って勉強をするので、多くの人にとって学校教員は非常に馴染み深い存在です。
また数々の映画やドラマなどの影響を受けて「将来は教員になって子どもたちの未来のために働きたい!」と教員になることを志す人は多いでしょう。
一方で努力して大学で教員養成課程に進んで教員になることを志したものの
「自分は本当に教員になりたいのだろうか」と将来について悩んでしまう人は意外と多いものです。
それは魅力的な職業であることがさらに職業選択への悩みを大きくしているともいえます。
そこで本記事では将来教員になるべきか迷っている人が持つ悩みを取り上げ、
自分が教員になるべきか否かの判断基準について説明していきます。
さきに結論からいえば、教員になるべきか悩んだら次の3つのポイントから見分けることが大切です。
ポイント
☑️ もったいない精神で悩んでいないか
☑️ 教員という職業の適性がありそうか
☑️ 長期的に考えて教員になることに後悔はないか
こんな方におすすめ
- 将来教員になるべきか悩んでいる
- 教員は自分には向いていないかもと感じている
- 教員養成課程に進んだのにもったいないかもと感じている
この記事はこれまでの私自身の経験にも基づいて書いています。
というのも私自身実際に教員養成課程に進み、教員になるべきか悩みに悩んだ末、最終的に教員にならないことを選択しました。
そのため、現在実際に教員になるべきか悩んでいる人にとってはとても参考になる記事となっていますのでぜひ最後まで読んでみてください!
☑️ この記事を書いている人
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教員になるべきか悩む人が持つ【4つの悩み】
教員になるべきか悩む人が抱える悩みには主に4つが挙げられます。
<悩み1>教員養成課程に進んだのにもったいないかも
まず一つ目にあげるのは「たくさん履修して教育実習にも行ったのにもったいないかも」と悩んでしまうものです。
教員免許取得を目指す人の多くは大学などに通って幼稚園や小学校、中学校、高校、特別支援の教員養成課程への進学や他学部等であれば教員免許に必要な講義を自分で履修し、教育実習や介護実習などを受ける必要があります。(認定試験などを受ける方法もあります)
教員免許取得に必要な科目は非常にたくさんあり、きちんと講義などを履修して単位を取らないといけません。
複数の免許を取得するとなればさらに追加で履修が必要でこれだけでもかなり大変です。
ちなみに、小中高の一種免許状(大卒)の場合、教員免許状取得に必要な科目の単位数は67となりますのでいかに科目数が多いかがわかるかと思います。
もったいない精神とも呼ぶべきこの悩みの背景には「サンクコスト(埋没費用)」というものがあり、これはよく経済学などで使われる用語です。ここでいうと
「ここまで教員免許状取得のためにたくさんの科目を履修して時間と労力を費やしたのに今さら教員にならないのはもったいないかも、、、。」
もし教員にならないとすれば、それまでに費やした時間と労力はサンクコスト、つまり取り返せないコストになってしまいます。
そのため「せっかく教員養成課程で単位を取得したんだし、やはり自分は教員になりたいのだと思う」と考えを改めてもったいない精神でそのまま教員採用試験も受けてという流れができてくるのです。
実はこの思考の中に認知的不協和という概念が出てくるのですが、それについては<悩み3>で取り上げます。
<悩み1>教員養成課程に進んだのにもったいないかも と悩んだら考えるべき判断基準
教員免許状取得に多くの時間や労力を費やしているからという「もったいない精神」で教員を目指すことを正当化していないか
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<悩み2>教員は魅力的だけど自分には合わないかも
この悩みは「自分は教員という職業に適性があるのかどうか」という視点が重要になります。
どのような職業に就くかは本人の自由意志で決められますが、一方でその職業に適性があるかどうかはまた別の問題だからです。適性とは主に
仕事の得意不得意
自分の価値観と仕事の価値観が合っているか
仕事が身体的、精神的に合っているか etc...
などがあります。
自分が就く仕事が得意であって、自分の抱く価値観とも合っており、さらに身体的にも精神的にも支障がないのであれば適性も充分にあると考えられます。
逆に自分が就く仕事が苦手な業務ばかりで、売りたくもない商品を一生懸命販売して、ノルマが厳しく人間関係も自分とは合わない人ばかりだったら身体も心も疲れ切ってしまいますよね。
教員になる上で様々な適性が必要ですが、少なくとも以下の3つは不可欠となるでしょう。
☑️教えることに喜びややりがいを感じることができる
☑️責任感が強く職務を全うできる
☑️人と関わることが好きである
教育の技術的な部分は後からでも習得可能です。
しかしその人の揺るがない価値観や考え方、教育が好きであり人と関わることが得意であることなどは、生まれ持ったものやこれまでの育ってきた環境や人生の中で培ってきたことも大きく影響しているのです。
そのような人たちはある意味、努力せずとも他のそうでない人たちよりも得意でありかつ労力も少なくて済むので、やはり適性があることは大きな強みと言えるでしょう。
とはいえ教員養成課程に進んでいる全員が人と関わることが得意であったり人前で教えることが得意であるとは限らないですよね。
やはり苦手な人が同じ労力で得意な人に勝つことは難しいのです。
これはサッカーが得意でJリーグでも活躍できる能力を持っているのに「自分は野球の方が好きだから!」と苦手であるのにずっと野球を続けていても活躍する人は一握りになってしまうのと同じことです。
大切なことは
無理な戦いをせず自分が人よりも優位に戦える環境を見つけて、自分のこれまでの経験や価値観に沿って自己分析すること
この自己分析を曖昧にしてしまうと適性があるのかが判断できず、思わぬ後悔をしてしまいます。
なぜなら、教員採用試験を受けるかどうかの時期になって「やっぱり教員なることは違うかもしれない」と
何が自分にとって適性があるのかという軸がぶれて自分の職業選択を後悔しかねないのです。
またそのような状態ではよほど面接や模擬授業などがうまくない限りは面接官に「この人ほんとうに教員を志望しているのか」と疑念を持たせてしまいかねません。
教員になった後に「やっぱり違った」というギャップを受けないために「その職業に適性があるか」をきちんと自分で見極める努力をしないといけないのです。これが2つ目の判断基準になります。
ただ実際のところ「仕事選びってどうやるの?」と思うのが当然だと思います。多くの学生は迷うのが当たり前ですからね。
私は自己啓発本などはおすすめしてませんが、下記の一冊はこれからの自分のキャリアを考えるのにとても参考になる一冊ですのでリンクも載せておきます。
<悩み3>本当に自分は教員になりたいのかがわからない
ここではこの悩みに関して2つの視点から説明していきます。
・周りの影響を受けている
・自分の行動と思いの不一致
周りの影響を受けている
一つ目に、この悩みは周りの人の影響を大きく受けていることが多いです。それは
・周りの友人
・家族
・大学の教職員たち
・テレビやインターネット、SNSなどの情報
周りの友人
ここでいう周りの友人とは主に教員を目指している同級生などの仲間のことです。
教員採用試験の対策のために学内で講座を受講する人は多いと思いますが、周りの意識が高いと「自分はそんなに教員になりたいのか」と悩んでしまいがちです。
周りに流されやすい人にとっては「みんな教員目指しているし自分も目指しとこう」と思ってしまうことは意外とあることです。
家族
これは私の印象でもありますが、教員を目指している人の中には「親や兄弟が教員である」など家族に教員がいる人が多いことも影響を受ける大きな要因になっていると思います。
周りに教員になっている人が多ければ、自分の将来の選択肢の一つとして「教員になること」が身近な選択肢となるのは自然な流れでしょう。
一方で「教員になること」に縛られすぎると承認欲求を満たしたいという欲求の方が強くなって結果的に「自分はほんとうに教員になりたいのか」と悩んでしまいかねません。
これは大企業に就職が決まったり公務員になると親やその上の世代から「立派だね」「すごいね」「安泰だね」とチヤホヤされる現象に似ています。
大学の教職員たち
昨今の少子化の影響により大学側の存在価値が大きく問われています。
特に教員養成の教職員にとっては「いかに教員にさせるか」の結果がシビアに求められます。
当たり前と言えばそうですが、教員になりたい人を集めるには教採の合格率を高めたり教員になる人の数を多くすることが不可欠ですのでできる限り教員になって欲しいのです。
もちろんみな最初から教員になることを目指して入学しています。
とはいえ大学なら4年間という期間の中で自分の価値観が変わるなんてことは当たり前です。
「あなたは教員を目指した方がいいよ」というアドバイスが、心からのアドバイスなのか大人の事情によるところなのかはきちんと見極めが必要でしょう。
テレビやインターネット、SNSなどの情報
今やテレビやインターネット、SNSなどからの情報もたくさん入ってくる時代です。
昨今教員の労働環境の問題がクローズアップされることも多くなりました。
そのような情報を知ると「本当に教員になっていいのかな」と不安になる人もいると思います。
良い情報、悪い情報のどちらも存在しているので「この情報は正しいの?」という疑問を持って情報と接することがポイントになってきます。
しかし闇雲に情報を得るだけになってしまうと情報に振り回されてしまうことになり、「自分は教員になってもいいのか?」と悩んでしまうことになりかねないのです。
自分の行動と思いの不一致
教員になるか悩んでいるけど、現在すでに多くの時間と労力を費やして教員免許状の単位取得をしている状態では、自分の意思と行動が逆行しているため認知的不協和の状態になり得ます。
これは次のような状態から起こりやすいです。
「教員になりたいのかわからない」にもかかわらず「教員になるために多くの労力を費やしている」
自分の意思と行動が逆行していることに違和感を感じるようになると、認知的不協和の状態になり得ます。
これはようするに「思っていることとやっていることが違う」ことに違和感を覚えるといった感じです。
そしてその違和感をなくすために
「自分は教員になりたいからたくさんの科目を履修しているからこれは教員になるために必要なことなんだ」
とある意味その逆行している状態に対し、自分の考えを改めることで教員を目指す行動を正当化してしまうことが起きてしまいます。
あとは自分にとって都合の良い情報を集めて自分の考えの正しさを裏付けていこうと働きます。
そうなれば確証バイアスに陥ってしまい、気づけば「自分にとって何が正しいのか」がわからなくなってしまう可能性があります。
教員になる前であれば良いですが、教員になった後に気づいてしまった場合は悩んでしまうだけでなく、自分の理想のキャリアとは程遠くなってしまうことになりかねないです。
<悩み4>これから何十年も教員として仕事を続けられるだろうか
教員に限った話ではありませんが、職業選びでは「その仕事を長く続けることができるか」が重要な判断基準になっています。
特に大切な視点の一つにその職業につくことによって生じるデメリットをどれくらい許容できるかがあります。そのため、次に当てはまるような人には教員になることをあまりおすすめしません。
おすすめしない人の特徴
・飽きっぽい人
・人生をハードにしたくない人
・プライベートの時間をしっかり満喫したい人
・多様なステージの人生を送りたい人 etc...
昨今転職する人が多くなってきた一方で、数年後に転職する前提で教員になる人はあまり多くはないでしょう。一度教員になれば転職はしないことが一般的と言えます。
終身雇用制度が崩壊してきた時代においても、やはり公務員であることは転職にも心理的なブレーキをかけているのは否定できないでしょう。
そのため次のような人には向いていないと言えます。
・時間や場所に縛られずに働きたい
・本業以外にも複業でしっかり稼いでいきたい
・ライフステージに応じて柔軟に働き方を変えていきたい
そして、過労死ライン問題で教員の労働環境がブラックでかつハードであることが世間に知れ渡っていることもあり、長期休暇や有給もしっかり取ってプライベートを充実させたい人にも合わないでしょう。
一方で長期的に教員でいることのメリットを最大限享受できる人の特徴は
おすすめできる人の特徴
・生涯にわたって教育に携わりたいと心に決めている人
・一つの職業でじっくり子どもたちのために仕事をしたいと思える人
・教員が天職であると思える人
少し抽象的かもしれませんが、やはり教員を天職だと心から感じられる人にとって、長期的にその仕事を続けることは容易いでしょう。
ここまでの話をまとめると、
教員として働ける人
プライベートの時間を取れなかったとしても、教育者として子どもたちのために継続的に働き続けることができる人
このように思える人には職業の一つとして教員を選ぶことはありと言えるでしょう。
とはいえ昨今の教員を取り囲む労働環境の問題を知らずして教員を目指すと後悔しかねません。
下記の書籍は教員の仕事の実態について深堀りされている良書ですので「教員を目指すべきか」迷っている方は読んでみてほしいです。
後悔しないために大切なこと
どのような人生を送るかはあなたの自由意志で決めることができるからこそ、たくさんの悩みを抱えてしまうこともあるでしょう。
教員になるべきか悩んでいるなら、これまでに紹介してきた判断基準をもとに後悔のない職業選択して欲しいと思います。
はじめに紹介した質問を再び行います。教員になるべきか悩んだら次の3つの質問をしてみてください。
ポイント
☑️ もったいない精神で悩んでいないか
☑️ 教員という職業の適性がありそうか
☑️ 長期的に考えて教員になることに後悔はないか
その答えが
「それでも教員になりたい」
と思うことができた方はぜひ教員になって子どもたちにとってのより良い教育の実現のために活躍してほしいと思います!
私自身も将来どうしようかなと日々迷っていた学生時代と社会人生活を過ごしてきました。
なかなか答えが出ない中で出会えた素敵な一冊を紹介しようかと思います。
当時の私と同じように悩む人がいればぜひこちらを読んでみてください。
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