長い人生のうちに誰しも一度は経験するであろう転職。社会で働ている世代全てにとってもはや一般的なものとなってきています。
特に20代であればキャリアアップキャリアチェンジ、ライフイベントの変化などに伴って新卒で入社した会社から転職をすることもあるでしょう。
未経験から別職種への挑戦、別業界への転職、年収アップや待遇面を改善するための転職、結婚や育児に伴う転職など様々な理由が考えられますが、実際はどうなんでしょうか。
そこで今回の記事では20代が転職を決める理由やきっかけに焦点を当て、20代転職の現状や転職の理由やきっかけとなりやすいポイントについて解説していきます。
この記事を読むとわかること
- 20代転職の特徴がわかる
- 20代の転職の理由やきっかけがわかる
- 転職に影響を与える社会の変化について
☑️ この記事を書いている人
データからみる転職理由
【予想】20代の転職理由
まずはじめに20代の転職理由の予想からしてみましょう。
世代にかかわらず、一般的な転職理由としては
転職理由
・給料を上げたい
・人間関係に悩んでいるため
・別の仕事に挑戦したい
・会社の将来性が不安
・休日を多くして残業は少なくしたい etc...
このような理由があるかと思います。さらに20代という世代の特徴に注目すれば、
転職要因
新卒で入った会社の仕事内容や労働条件などが合わなかった
プライベートの時間が取れないほど業務量が多く残業や休日出勤が多い
上司や周りの同僚との人間関係がつらい
若いうちは給料が少なく生活が苦しい etc...
このような要因が重なったりすることで転職を決意することが想像できます。では実際のところはどうなのかを次の2つのデータからみてみます。
データからみる20代の転職理由
こちらは大手転職サイトなどの転職サービスを運営するdodaが2017年度の1年間に転職活動を行った約8万人のデータに基づいて分析、算出したデータになります。
このランキングの順位をみると、先ほどの予想と概ね一致しているかと思いますが詳しくみていきます。(6位以降の説明は割愛します。)
1位には「ほかにやりたい仕事がある」がきていますが、さらに前年度の順位も同じということで転職理由としては大きいでしょう。また1位〜5位までは前年度の順位と同じですね。
確かに社会に出て働き始めてから自分のほんとうにやりたい仕事が見つかったり、今の仕事が自分に合わないと感じることは20代という若い世代によくありがちな理由と考えられます。
特に新卒で入った会社であれば社会に出て働いたことがないと(もしくはアルバイトのみ)いきなりフルタイムでしかも責任ある仕事を任されたり、社内社外の人間関係に苦労するなんてことは想像に難くないですよね。
2位には「給与に不満がある」がきていますが、ここにも20代ならではの悩みが見えてきます。
キャリアが浅いうちであれば特殊な仕事をのぞいて20代だと一般的な年収は低くなりがちです。
会社への貢献度にもよりますが、多くの場合会社への貢献度や抱える責任に伴って年収も上がっていくので仕方ない部分もあるかもしれないですが、あまりに手取りが低かったりすればモチベーションにも影響してくるでしょう。
3位には「残業が多い/休日が少ない」がきていますが、これも働く前と実際に働いてみたあととで仕事に対するギャップなどを抱いている側面があると考えられます。
つまり「思っていたよりも残業が多かった」「年間休日が実際に働いてみると少ないと感じる」ブラックなところでは残業代もきちんと支払われず、有給休暇も取得できない(希望の日にほとんど取れない)なんてこともあり得ます。
4位には「会社の将来性が不安」がきています。
業界や取り組んでいる事業内容にもよりますが、「この会社危ないかも」と思うことは現場で働く社員であれば嫌でも感じることができるでしょう。
先細りの業界であればなかなか会社も成長しづらいだけでなく、価格競争などに陥ってしまえばますます利益が上がらなくなってしまいます。最悪の場合倒産することもあり得ます。
あとは社内でパワハラやセクハラなどのハラスメントが平気で横行していたり経営者が働く従業員を大切にしていない風潮があればこの会社で成果を出して頑張ろうとは思えなくなってしまうかもしれません。生産性も間違いなく低下するでしょうし、負のスパイラルですね。
5位には「専門知識・技術力を習得したい」がきていますね。
現在の自分の携わっている仕事に専門性や希少性をあまり感じられず、将来のキャリアや年収アップなどを考えて専門性や技術力を身につけたいという人は多いと思います。
やはり仕事で扱う領域が専門的になればなるほどそこで活かせるスキルや経験をもった人材に価値が生まれていき、仕事にも困らなくなるかもしれません。さらに希少な人材になればその分なり手が少なくなることで高い給与も保障されることが見込まれます。
1〜5位についてみてきましたが、20代特有というよりも全世代で考えられる転職理由かなという印象も受けますね。
では次にもう一つの転職理由(前職を辞めた理由)に関するデータを取り上げてみます。
こちらは厚生労働省が行った2019年(令和元年)雇用動向調査の結果から引用した表になります。
年齢、性別別に転職入職者が前職を辞めた理由がまとめられています。
20代の男女ともに辞めた理由として多いのが次の3つです。
・職場の人間関係が好ましくなかった
・給料等収入が少なかった
・労働時間、休日等の労働条件が悪かった
また、男女別で差がみられる項目に次の2つがあります。20代後半以降顕著ですね。
・結婚
・出産・育児
このように2つのデータから20代の転職理由やきっかけについてみてきましたが、簡単にまとめると
会社の給与等への不満
職場の人間関係
休日や労働時間(残業が多い)などの労働条件に対する不満
ほかにやりたい仕事がある(今の仕事内容に興味がない)
ではこれまでみてきた内容をもとに、20代の転職の特徴について以下の4つ観点からさらに深掘りしてみましょう。
20代の転職の特徴とは
究極はやはり「人生の幸福度」でしょう。誰しも幸せでありたいと願いますし、またそうなるように毎日努力をしたりして頑張っています。
そのため一番には「人生の幸福度」を据えておき、それを構成する要素として「お金」「人間関係」「キャリア」を挙げました。
さらにそれぞれについてみていきます。
人生の幸福度
20代の転職の話からいきなり人生の幸福度について取り上げていますが、これはよくよく考えてみるととても当たり前のことを言っています。
なぜ転職をするのか、もしくはなぜ転職をしようと考えるのかを深堀すると、それは転職することによって「人生をより良くする」ことを実現させるためと言えるからです。
誰も自ら不幸になるために転職をしようとは考えないですよね。より大きく捉えれば、不幸になろうという選択はしないのです。
給料が少なくて友人とご飯に行ったり遊ぶお金が出せない、職場の上司や同僚との人間関係がうまくいかなくて会社に行くのがしんどいなど、生きていると何かと課題や悩みに直面しているものです。
その課題や悩みを解決する手段の一つとして転職があり、それを選択肢として選択することによって人生を良くしようと行動し、人生の幸福度を高めていきます。
それが「より給料の高い会社へ転職したい」、「もっと休日が多く残業時間の少ない会社へ転職したい」、「自分がやりたい仕事ができる職種へ転職したい」、「嫌がらせをしてくる上司や同僚との人間関係を改善するために転職したい」という転職のきっかけになると考えられます。
お金
人生の幸福度に関わる重要な要素として「お金」の問題があります。
お金がすべてではないと思いますが、とはいえ不安のない充実した毎日を送っていくためにはお金が不可欠なツールであることは異論がないでしょう。
明日の生活や一週間後、1ヶ月後の生活すら危うい状況では、趣味の活動や友人との交友などまともにできないでしょう。それは二の次なのです。
さすがにここまで危機的状況には至らなくても、若い世代であれば一般的に給料がそこまで高くはないことが多いので会社からもらう給料に対して不満を抱くことは不思議ではありません。
さらに労働時間が長く責任が重たい仕事をたくさん抱えているわりに給料に反映されていないということも若い世代のあるあるな話でしょう。
「労働時間が長く責任も重たいのに給料が低いから不満だ」
「こんなに仕事をしていても毎月の生活費と支払いでまともに貯金もできない」
最近ではSNSを開くと同世代で自分よりも良い暮らしをしている人や成功している人なんかが簡単に目につくようになっているので、自然と自分の境遇と比較してしまうなんてことにもなりがちです。
そうなれば今よりもっと高い給料をもらえる会社へ転職したいと考えることは自然ですよね。
また給料などの条件は同じでも自分の労働に見合った給料がきちんと保障されている、労働条件が揃った会社へ転職したいと考えるのも自然です。
労働に見合っただけの対価としての賃金(給料)をきちんと払われていないと感じていれば、不満に感じやすくそれが結果的に転職理由となることがあるのです。
人間関係
この人間関係の悩みというのは転職理由にも大きく影響してきます。
アドラー心理学では「すべての悩みは対人関係の悩み」と言い切るぐらい人間にとって他者の存在というものは非常に大きな存在であり、自分自身の価値観や感情にも大きく影響を与えるものです。
現在社会において全く人と関わらない状況にある人はおそらく皆無でしょう。特に仕事においてはたくさんの人と関わることが必要になりますよね。
20代で良くありがちな仕事の悩みの一つは上司との人間関係です。たとえば
・感情の起伏が激しく、大声で怒鳴り散らかす
・業務上のコミュニケーションすらしたくないほど関わりたくない
・自分からあいさつをしても無視される
・部下の言動に対して揚げ足ばかり取る
・常に威圧的な態度で接してくる
・頻繁に飲みに誘われる(断ると不機嫌になる)
このような状態では人間関係が辛くなるばかりですよね。
特に20代だと仕事で成果を出すには上司の承認や協力を得ることが必須のことも少なくなく、上司の存在は想像以上に大きいです。
もしそんな上司に嫌われでもすれば自分の仕事ぶりが適性に評価されないだけでなく毎日のように嫌がらせを受けるかもしれません。
そんな状態では会社に行くのさえしんどくなってしまい、ひどい場合にはうつ症状に悩まされて休職せざるを得なくなることもあり得ます。
もちろんこれは上司に限った話ではなく、会社で関わる人間すべてに当てはまる可能性があるものです。
人間は古来から群の中で生きてきた生き物ですので、その群の中から弾かれるような状態になってしまえばまともに生きていけなくなります。これは会社に置き換えても同じといえます。
この人間関係で難しいのは、たとえ自分は他の人のことをなんとも思っていない、もしくはスルーしていたとしてもその相手側が突っかかってくると少なからず体力や気力などのエネルギーを消耗してしまうことです。
そのため人間関係の問題というのは、定番のように転職理由の一つとして挙げられるほど重大な問題なのです。
キャリア
20代で転職を考える人の理由の一つにキャリアに関することが挙げられます。
先ほどみたデータの中に「ほかにやりたいことがある」や「仕事の内容に興味を持てなかった」という理由が上位になっていましたが、その背景には次のようなものがあると思われます。
・自分のキャリアのビジョンが曖昧なため職業や業務内容とのギャップが起きている
・就職や転職後に仕事に対する価値観の変化
多くの人にとって就職や転職は人生における一大イベントの一つですので、会社や職業選びの際は入念に下調べをしたり自己分析にたくさんの時間をかけたことでしょう。
しかしどんなことにも100%絶対ということはなく、まして初めての就職や転職であれば想定していた業務内容と実際の業務内容が異なることや仕事をするうちに自分の価値観が変化して別の職種に挑戦したいと感じることはありうることです。
30代40代と年齢を重ねていけばある程度自分のキャリアの軸が固まってきますし、家族がいる場合では自分の意思だけですぐに転職することも難しくなるしょう。それはリスクの大きさに現れてきます。
20代であれば転職したいと思った時の制約がそれほど多くないため、実際に転職をするという行動にも移しやすいのです。
また、実際に社会人になって働いてみると分かりますが、「将来自分はどうなっていたいのか」という自分自身の将来について真剣になって考えると「自分はこのままでいいのだろうか」という疑問や不安にぶつかることがあると思います。
私自身の経験で言っても、「そんなに不満を感じてはいないけど、数十年同じような仕事を(変化も少なく)同じように続けて行ったそのさきにどんな未来が待ち構えているのだろうか。」
そのように考えると将来について、当時の状況についてゾッとしたのを覚えています。
一方でキャリアのほとんどは偶然によって作られるなんて話もあります。
10年後20年後に自分がどうなっているのかは誰にもわからないですし、何が正解かは死ぬまで分かりません。
とはいえ少なくとも現在を一生懸命に生きて行くことには価値があると思いますし、ざっくりでもいいので将来のキャリアの方向性を決めておくことは大切です。
まとめると
・仕事内容にギャップを感じても解決策として転職を選択しやすい
・仕事を始めてから真剣にキャリアについて考えることが多くなると転職を選択しやすくなる
ということですね。
20代のうちに自分のキャリアや方向性について考えましょう
本記事ではこれまで20代の転職理由やきっかけについて、2つのデータに基づきながら考えていき、後半には20代の転職の特徴を 人生の幸福度 お金 人間関係 キャリア の4つの観点からみていきました。
そして人生の幸福度を高めるための(実現するための)手段の一つとして転職があることが分かりました。
そのため20代のうちから自分のキャリアや方向性についてしっかりと考え、人生の幸福度を高めることを意識し行動していくことが大切といえますね。
この記事を最後まで読んでいただいた方で
「よし、人生の幸福度を高めるために行動するぞ!」
と意気込みをもった方は下記の記事も参考になると思いますのでおすすめです。
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